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「プロメテウス」:エイリアンファンは楽しめるが、なんとも微妙な作品

 

評判がイマイチだったので見ていなかったのだが、飛行機で見られたので鑑賞。

うーん、つまらなくもなかったけど、映画館で見なくて良かったかな。

 

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「プロメテウス」

 ★★★★★★☆☆☆☆ 6点


 

 まずこの映画、あの「エイリアン」シリーズの前章だということは皆さんご存知だろうか。

もし映画好きなら当然知っているだろうが、そうでない限り(あのCMを見て来た人だったら)まったく知らずに映画中でエイリアンに遭遇することになる。急にあんなものが飛び出してきたら、僕はだったらその場で退場するだろう(笑。

まあ個人的には食わず嫌いしていた人にもこのシリーズに触れてもらう良い機会だと思うが、もし僕が最初に見るのがこの「プロメテウス」だったら、他の「エイリアン」シリーズはもう見なくてもいいやって思っちゃいそうだ。

つまり、少々残念な出来だということ。

ただ、「エイリアン」シリーズのファンであればそれなりに楽しめる内容にはなっている。

 

人類の起源を探る女性エリザベスと調査チームたち。

彼女らは地球の古代遺跡が示すマップを頼りにある惑星へと辿り着く。

そこに人類の起源があるのではないか、と仮説をたてたのである。

その惑星にはなんと人類そっくりの顔の形をした巨大像があり、さらに謎の生命体とも出会う。

調査チームはいよいよ真相に迫りつつあるのだったが・・・。

 

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調査チームリーダーのエリザベス役にはあの「ミレニアム」でドラゴンタトゥーの女を演じたナオミ・ラパス。(写真中央)

「ミレニアム」では強烈な印象を残した彼女だったが、スッピンだとなんと地味なことか。

「エイリアン」1作目と同じくあとになって主人公だと発覚するキャラなのだが、ちょっと観客をひっぱるには魅力不足な印象。

調査チームに命令を下す女性隊員にはシャーリーズ・セロン。冷酷非情で憎たらしい性格。こういう役を美人にやらせちゃうのは悪くない(笑。

ただこの人物が何を目的に行動しているのかよくわからず、映画中でもあまり活かされていない印象。

そして今作で一番印象的だったのはマイケル・ファスベンダー演じるビショップ。(写真右)

ビショップは人間ではなくロボットなので映画中はずっと無表情。

なのに腹に一物ありといった危険なオーラを醸し出し、淡々とした喋り方の裏にも敵意を感じる。

そんな緊張感のある微妙な演技が非常にうまい。

また、このビショップも何を目的に行動しているか不明である。
 

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この映画で特筆すべきは美しい映像だろうか。

宇宙船の造形も良いし、謎の惑星も雰囲気たっぷり。宇宙服やレーザー銃などのバリバリSFなアイテムも楽しませてくれる。

クライマックスの壮大な破壊シーンも見所である。

そして満を持して登場するエイリアンもファンには嬉しい。

一番最初に登場するエイリアンの形がどう見てもち◯こなのはご愛嬌。今回はなんだかウネウネした触手みたいなやつばっかりで本当に気持ち悪い。

特に腹からエイリアンを取り出すシーンは衝撃。まあ僕はこういうのが大好物なのでよしとしよう。

 

映像は良いが、ストーリーはどうかと言われると、なんとも微妙である。

人類の起源の真相を求めて必死に調査するクルーたち。

「ゾディアック」「大統領の陰謀」「アンドロメダ...」などと同じく、徐々に真相に迫っていく構図は大変面白い。

最初はボンヤリしていた物事がハッキリ見えてくるとどんどん面白くなっていくものだ。

しかしこの「プロメテウス」、中盤まではそこそこ面白かったものの、終盤になればなるほどボンヤリとよくわからなくなっていくのだ。

「人類の起源って結局なんだったの?」「今何してるの?」って感じ。

さらに前述の通り、登場人物も最初から最後まで何を考えているかよくわからない人たちばかりで、さらによくわからない。

そうすると観客は淡々と画面を見つめるだけになってしまい、クライマックスになってもいまいち盛り上がらない。

細かい設定がかなり荒い点はまあ目をつぶるとしても、肝心の「人類の起源」はしっかり消化してほしかった。

 

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僕の仮説だが、そもそも制作者のやりたいことと観客の求めているものが違うんじゃないだろうか。

観客は映画の前半で示された通り「人類の起源」が知りたい。

ところが制作者は、エイリアンを出したいだけだ。

だから映画はどんどん観客の期待する方向からズレていって、最終的にはただのパニック映画になってしまう。

 

結局、この映画でわかったのは人類の起源ではなくエイリアンの存在目的だ。

なので最初から「エイリアン」前章だと知ってるファンにはそこそこ楽しめるものの、単純にプロットに引かれて見にくると微妙なんじゃないかな。